台湾・南アフリカ・イスラエルの秘密核同盟ネクサスとは?

イスラエル

イスラエルは事実上の核保有国、南アフリカは過去に核兵器を保有していたことが広く知られているが、1960~80年代にて台湾(中華民国)も密かに核開発を進めていたことはあまり知られていない。

アパルトヘイト下の南アフリカ含め、これら三カ国はいわば国際社会の「はずれ者」として水面下で手を結び、核の枢軸(Nuclear Axis=ネクサス)として周囲の敵対国家に対して抑止力を確保しようとしていた。

現時点では秘密核同盟は存在せず、インターネット上の情報も少ないが、台湾・南アフリカ・イスラエル間で1980年代に存在していた秘密核同盟疑惑について、ウォール・ストリート・ジャーナルが1981年に報じた記事のアーカイブが存在していたのでご紹介したい(以下和訳)。


 

核開発で協力を深める三カ国

 

イスラエル、台湾、南アフリカの間での核関連の接触が増加しており、これら3か国が原子兵器の開発を助け合っているかどうかについて、米政府内で論争が巻き起こっている。

核技術と情報の流れを監視する情報機関と国務省の一部関係者は、国際社会のはずれ者である3か国が互いに原子爆弾を入手するために協力しあっているとの確信を抱いている。3か国は世界からますます孤立する中で、軍事と情報面で相互依存を深めている。

政府関係者や民間の専門家は、2週間前にイスラエル軍機がイラクの原子炉を攻撃した結果、外交的に孤立すれば、イスラエルはこのような秘密接触を増やすかもしれないと懸念を表明している。

一方、機関内の他の関係者は、そのようなネットワークが形成されているとは考えておらず、核兵器の拡散を制限する取り組みに対する脅威を軽視しているのが実情だ。彼らは、3か国の間で核技術と核材料の取引が増えているとは認識しているが、それが核兵器と効果的な運搬システムの開発を意図しているとの主張には懐疑的である。

しかし、核問題における台湾、イスラエル、南アフリカの「三角関係」を最も綿密に追ってきた関係者は、以下の動きに不安を抱いている。

  • 情報関係者によれば、イスラエルは台湾が核弾頭を搭載できるロケットの開発を支援している。
  • 情報関係者によれば、イスラエルの科学者は南アフリカで原子力プログラムに取り組んでおり、南アフリカ政府が核兵器を製造するための技術的な専門知識を獲得することを支援している可能性がある。
  • 台湾の科学者は、南アフリカが兵器級のウランを生産できるようにするプロジェクトで南アフリカと協力しているとされている。
  • 情報関係者によれば、南アフリカはイスラエルと台湾の双方のウラン供給国となっており、その代わりにプレトリア政府は両国から重要な技術と訓練を受けているとされている。去年、台湾は南アフリカから4,000トンのウランを6年間購入する契約を締結したと米国の調査で報告されている。

これらの接触は、1979年に国防情報局(DIA)で昨年公開された研究でも言及されている。この報告書によれば、南アフリカは核分野において、「孤立国家ネットワーク」で国際的な機会を増やしている。「孤立国家」という言葉は、外交的に孤立した国々を指す核関係者の間で使われている。

関係者はまた、アルゼンチン、ブラジル、イラクなどの原子力大国の間でも核のつながりが増えていると指摘している。情報関係者によれば、例えばブラジルは最近、西ドイツから入手した機密性の高い核発電技術をイラクに提供し、引き換えにイラクから石油供給の保証得た。

アメリカの情報関係者は、イスラエルが早くは1974年にも核兵器を製造したと結論づけている。計画はディモナで推進され、フランス製の原子炉と「一部は秘密の手段で供給された」ウランを使用したという中央情報局(CIA)の報告書が1978年1月に公開されている。この月、CIAの分析担当者は、イスラエルが現在、戦闘機爆撃機またはイスラエル独自の設計・製造のジェリコミサイルによって運搬できる10から20の核兵器を保有していると、ある議会の情報筋に対して秘密の会合で語ったとされています。イスラエルの元国防大臣兼外相であるモーシェ・デヤンは今週、「現時点ではイスラエルは核爆弾を持っていないが、「私たちにはその能力があり、短期間で兵器を製造できる」と発言している。

核協力は、イスラエル、台湾、南アフリカの間での従来の軍事および経済的な交流の一部に過ぎないことが、監視をより困難にしている。いずれにせよ、これらの接触は3か国が政治的孤立を以前に増して感じているという認識の現れだろう。

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